長女はなぜこうもツライのか──。取り柄でもあるはずの長女気質に苦しめられる。どう折り合いをつければいいのか、自らも長女の品川女子学院の漆紫穂子校長(54)はこう話す。

「長所と短所は根っこは同じです。たとえば、私は人との約束は必ず守るのですが、自分のことは後回しになってしまう。仕事のための健康管理でトライアスロンを始めたときも、自分のためには頑張れないと思い、クラウドファンディングでNPOへの寄付を募るなどして、継続できる仕組みをつくりました。自分を知り、短所を長所として生かす工夫をしています」

 人材会社勤務のユリさん(42)も30歳を過ぎ、自分の中の折り合いを考えるようになった。

 学生時代の部活ではキャプテン。練習中、仲間がバタバタ倒れても、気力で最後まで残った「ザ・長女」。入社後も長女キャラ全開で突き進んだが、入社4年目で大きなプロジェクトを任されたとき、気持ちは前のめりだったのに体が悲鳴をあげた。頼まれると断れず、期待されると120%全力投球してしまう。33歳でマラソンを始めた。

「自分と向き合う時間を持つことで、自分の中のバランスをとるようになりました」

(文中カタカナ名は仮名)

AERA 2015年8月17日号より抜粋