今年度入園の“保活”では「見学さえ門前払い」「枠確保のために高額な予約金を払った」など、悲痛な声が上がった。だが、保育園に入った後も、心配は尽きない(撮影/写真部・堀内慶太郎)
今年度入園の“保活”では「見学さえ門前払い」「枠確保のために高額な予約金を払った」など、悲痛な声が上がった。だが、保育園に入った後も、心配は尽きない(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 激戦の“保活”を制して認可保育園に入園しても、ホッとしてはいられない。深刻な待機児童問題を解消するために、保育施設があまりにも性急に増やされた結果、保育の態勢が十分に整っていない園も少なくないのだ。

 認可園であってもずさんな保育園もあると言うのは、保育制度に詳しいジャーナリストの猪弘子さんだ。

「4月1日から開園するというのに、3月30日の段階で、スタッフ全員そろっての打ち合わせができていない園、給食で使う食器が決まっておらず、給食設備の試運転もできなかったため、初日に給食が出せなかった新設の認可保育園もありました。保育施設の量の拡充を優先し、保育士の待遇改善など『質』の確保を後回しにした結果、このような現状があるのでは」

 今年4月に施行された「子ども・子育て支援新制度」でも、予定していた財源確保が困難なため、質より量の拡充を優先している。猪熊さんは指摘する。

「新制度のスタートで、これまで保育所を運営するのは社会福祉法人のみという暗黙の制約を設けていた自治体も、保育士の配置人数や施設の面積などの基準を満たしていれば、株式会社だからといって参入を拒むことができなくなり、認可せざるを得なくなりました。待機児童解消のために、まずは保育施設の量を優先している地域では、法人の形態にかかわらず心配な認可保育園の話も耳にしています」

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