「ベンチャーの方が成長できる」説は本当か 大手蹴った社員の声は 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「ベンチャーの方が成長できる」説は本当か 大手蹴った社員の声は

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大手か中小か…(※イメージ写真)

大手か中小か…(※イメージ写真)

 大学生が就職活動を始めるとき、最初に考えるのは「大手か中小か」。最近はそこに「ベンチャー」が加わる。速く成長できると言われているが……。

 東日本大震災が発生した4年前の春。学生たちの就職活動は、混乱の中で続いていた。 早稲田大学の4年生になろうとしていた菅野真奈さん(26)は福島県出身。原発事故に遭遇する前は「会社の規模」を企業選びの柱にしていたが、地元が被災し、こう思い直した。

「何かが起きたとき、自分で考えて動ける強い人になりたい。そのためには、若いうちから自分自身が中心となってチャレンジしていける環境に身を置かないといけないんじゃないか」

 財閥系総合商社から内定をもらって2週間。考えに考え抜いた末に辞退して、最終的に就職先として選んだのは、IT・医療業界に特化した転職サイトなどを展開するベンチャー企業、レバレジーズだった。

「会社の成長が、自分の成長と紐づくところがベンチャーのいいところだと思います。この会社は説明会で、ほとんど『いま』のことを語らなかった。『未来』を見つめているところに惹かれたんです」

 2012年春に入社すると、思い描いていた通り、いやそれ以上に次々と重要な仕事を任された。入社3カ月で担当したのは、管理会計の導入。

「これを私に任せるの?」と最初は驚いたが、悩んでいるひまはなかった。会社から70万円を借りて、まずは会計の専門学校に通った。週に3度、午後6時半からの授業に出て、9時半に会社に戻る。そこからまた仕事。こんな生活が、2年続いた。

 菅野さんは、身に着けた知識をすぐに実践して月次決算の仕組みを作り、社内の経営管理体制も整備していった。もちろん、税務調査にも対応。「できること」は日増しに増えた。2年目の春には、「経理部長」の肩書までついてしまった。「成長」は菅野さん自身が追い求めたものでもあるが、力になっているのは社会に貢献したいという思いだ。

「なんか、すごくギラギラしている人みたいになってしまいましたが、自分だけが成長したいという考え方とは、ちょっと違うんです」

菅野さんと同じレバレジーズの12年入社組、木下正文さん(28)も、入社3年目で美容メディア事業部の責任者になった。

 名古屋大学大学院を休学し、同社でインターンシップを始めたのが11年の夏。1週間後には採用セミナーの企画運営を任され、数カ月後には人事制度の改革チームに組み入れられた。大学院を中退して12年4月に正式に入社した後は、人事、マーケティング、新規サイトの立ち上げと次々に分野の違う仕事をこなしてきた。

「すごいスピードで仕事を任せてくれるなと思った半面、会社としては発展途上で、業務に無駄もあると感じました。例えば新卒採用のときの応募者の管理など、少しずつ改善してきました」

こう話す木下さんは、決して最初から何でもできる「スーパーマン」だったわけではない。どんな仕事もまっさらな状態から猛勉強し、吸収していった。月に4万円分の本を買う。

ベンチャー企業が与えてくれるのは「成長」ではなく「成長のチャンス」。数年で飛躍できるのは、これを活かせる人だけだ。

AERA 2015年8月24日号より抜粋


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