この公演のチケット代は1万2千円、3時間半という長尺のライブだったとはいえ、決して安くはない。

「大きなホール公演だとどうしてもアーティストとの距離が遠くなります。でもクラブチッタの規模ならば全席がアリーナ席のような感覚です。加えて、ホール会場と同じクオリティーの音響で楽しめますから、コアなお客様にもより満足していただくことができます」(丸山さん)

 クラシックロックを中心に取り上げる音楽雑誌「ストレンジ・デイズ」の岩本晃市郎編集長は、中年層のロックファンがいまだに厚い理由をこう説明する。

「往年のロックミュージシャンの多くが60代になり、70代だって少なくない。そのリスナーは、おおよそ40代後半から50代でしょう。一概には言えませんが、子どもの学費などの出費がようやく落ち着き始め、それでいて会社での立場も上がる。趣味に使えるお金がもっとも多い世代なんですよね」

AERA 2015年8月17日号より抜粋