個人投資家らの視線の先には、緑一色に染まった株価ボード。緑は値下がりしている銘柄。グラフには上海総合株価指数の急落の軌跡が…/7月8日、北京市内の証券会社で (c)朝日新聞社 @@写禁
個人投資家らの視線の先には、緑一色に染まった株価ボード。緑は値下がりしている銘柄。グラフには上海総合株価指数の急落の軌跡が…/7月8日、北京市内の証券会社で (c)朝日新聞社 @@写禁

 いつバブルがはじけるのか――世界が注視する中国経済で、株価が急落した。政府はなりふり構わず国家介入を連発するが、「市場」はゆがみ続けるばかりだ。

「庶民のお金をなんだと思ってるのよ! 共産党なんてやめてやる。みんなやめなきゃ」

 7月8日の北京。緑色に染まった証券会社の株価ボードを前に、70代の女性が叫んでいた。

 この日、中国の株式市場はどん底にあった。代表的な上海総合株価指数は6月12日にかけての1年間で150%上がっていたが、そこから1カ月足らずで3分の2まで落ち込んだのだ。

 ジェットコースターのような相場の主役は、個人投資家たちとされる。売買代金の約8割を占め、この比率は海外の主要市場のほぼ倍だ。その投資家たちに政府は昨秋以降、「買い」のシグナルを出し続けてきた。中央銀行の中国人民銀行が昨年11月に利下げし、市場に資金を流し込む。個人が複数の証券口座を持つことが解禁され、共産党機関紙・人民日報は「貯蓄から投資へ」とあおった。

 2千万人ともいわれる新たな参加者が市場に群がった。株は上がり続けるもの、と信じて手を出したのが、お金を借りて株を買う「信用取引」だ。信用残額は6月には2兆元(40兆円)を超え、日本の10倍以上に膨らんだ。明らかなバブルだ。

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