大学院修了後は、ネット広告会社に就職した。人々の目を引き、興味を持たせるにはどうアプローチすればいいか、広告手法から学びたいと考えたからだ。

 レシピ本の出版を機にメディア出演や講演依頼が舞い込んだため、退職・独立を決意したが、会社員時代に習得した広告の基礎知識とビジネスマナーは、今も生きているという。

 独立後は、ただ依頼を待つだけでなく、自ら行動を起こした。「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録された際は、博物館に企画を持ち込み、和食をテーマとした企画展を実現させる。「行動すればチャンスは与えられる」という手応えをつかんだ。

 書く、話す、企画するという文系のスキルと理系の知識を併せ持つ…そんなマルチ性が彼女の強みだ。しかし、実は10代の頃はそれがコンプレックスだったと語る。

「器用貧乏タイプ。何でもそこそこできるけれど、何かの分野を極めて一番になることはできないだろうと思っていました。でも、今は『何でもできる』が功を奏しています」

AERA  2015年7月20日号より抜粋