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 ヒットの陰に、課長がいる。中間管理職で、大きな権限を持つわけでも大がかりな予算を引っ張れるわけでもない。プレーイングマネジャーを期待され「つらい仕事」という印象もついてまわるが、アエラがビズリーチの協力を得て行った調査では、課長経験者の実に9割が「課長を経験してよかった」と答えている。

 だが一方で、調査では、課長経験者の8割以上が人間関係に悩んでいた。部下を育てるより自分が動いたほうが成果が上がると思う場面もあるのだろう。

 スターバックス コーヒー ジャパンの佐藤靖子さんも、そんな思いを抱いた一人。店長を6年経験したのち、2007年に複数の店舗を統括するディストリクトマネージャーに就任した。店長と違い、マネージャーは現場に立てない。部下の手本になろうと率先して動いてきたが、「背中を見せる」という手は使えなくなった。

「私が入れば何とかなるのに」

 エプロンを着けたくてたまらなくなることが何度もあった。

 管理職としてやりがいを感じられたのは、マネージャー3年目で北海道に赴任してからだ。函館1号店となる函館ベイサイド店のオープンを担当した。観光地の赤レンガ倉庫群にあり、地元チェーンのファストフードの人気が根強いこともあって、難しい出店とされていた。

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