独身者のマンション購入は「黄信号」とFP

 浪費しても文句を言われないのは、シングルの気楽なところ。でも老後の不安はつきまとう。誤った備え、してませんか?

 独身者の不安のタネのひとつが、「ついのすみか」だ。賃貸住宅は保証人のいない単身高齢者との契約を拒否することがあるため、若いうちにマンションを購入する人もいる。だが、これは黄信号という。10代の頃から独身主義で、現在もシングル生活を継続中のファイナンシャルプランナー・中村薫さんはこう話す。

「よく、家賃並みのローン返済でマンションが買えるなどと宣伝していますよね。仮に、2千万円を金利0.8%の35 年ローンで借りたら、総返済額は約2293万円、月あたり約5万4千円です。確かに家賃並みですが、一般的な女性の年収300万~400万円ではギリギリ。金利が上がれば返済額も上がり、生活が破綻しかねません」

 では、固定金利ならどうか。仮に2千万円を固定金利1.8%の35年ローンで借りた場合、総返済額は約2697万円、月あたり約6万4千円だ。

「利子だけで約700万円です。年収の2倍近くも払ってまでマンションが必要でしょうか」

 ローン返済のほかに、管理費や修繕積立金がかかるうえ、地震で被災したら、保険に入っていても多くの費用がかかる。最悪の場合、ローンが残ったまま、賃貸に引っ越す羽目になる。

「住まいを買うということは、家が壊れた時のリスクも保有するということ。考え方によっては、働けるうちに貯蓄して、定年近くにほぼノーローンでマンションを買うほうがいいかもしれません。リスクを負う時期を後ろ倒しにするのです」

 同じマンションでも、投資目的の購入はさらにリスキーだ。稼ぎ手が1人の独身者にとって、リタイア後に家賃収入を得られるのは魅力的だが、中村さんは、「不動産投資は不労所得ではなく労働所得」と警鐘を鳴らす。

「ローンの返済や管理費などを差し引くと、手元に数千円しか残らないことがあります。設備のメンテナンス、住人からのクレームにも対応しなければなりません。管理会社にまかせると月3千~5千円も委託料がかかります。空室続きで無収入のリスクだってあります」

 売却しようにも、よほどの優良物件でなければ買い手がつかない事態も考えられる。保険も不動産も、いたずらに手を出すべからず、が鉄則なのだ。

AERA 2015年6月22日号より抜粋

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