帰国後は地元天草にネクサスのメンバーなど名だたるアーティストを招いて国際音楽祭を開催した。「ふるさと天草の人たちに最高のステージを楽しんでもらいたい」。そんな気持ちが彼女を動かしていた。

 2008年、一人娘が中学を卒業すると同時にミカは島を出た。演奏家として生きる場所はアメリカ、ニューヨークと決めていた。「荷物はスーツケース2個。お金もなく身寄りもいないニューヨークへ引っ越すなんて、今考えれば無謀ですよね(笑)」。

 44歳、新たなスタートだった。
 
 昨年は2回目のブルーノート東京出演を果たし、今年は11月に7回目になるカーネギーでのリサイタルを開催する。チック・コリア、大島ミチル等がこぞって楽曲を提供。今年はメキシコや南米各地でのコンサートも予定されている。9月の来日コンサートに向けて、ミカの多忙な日々は続く。

(文中敬称略)

AERA  2015年6月15日号より抜粋