テレビを見ていた時間は、友達と会って会話をする時間に変わった。「とても贅沢な時間」と言う。週3回は映画館へ足を運び、週末は展覧会をはしごする。

「自分にとっての豊かさとは、モノではないもの。モノを買うくらいなら、お金をためて旅に出たほうがいい。モノから解放されたことで、身軽になり、自由になれた気がしています」

 大量消費という概念から距離を置き、こだわりのモノだけで生きるのは、流行に敏感になりがちな20代女子も同じだ。

 インテリアデザイナーで、兄と幼なじみとともにデザインラボ「10surdix」を手がけるマリオン・スタインメッツ(26)。高級ブティックが立ち並ぶサンジェルマン・デ・プレ地区で働く20代、と聞くとモードなキラキラ女子を想像してしまいがちだが、彼女の服装にも飾り立てた感はない。本人の言葉を借りれば、自身のスタイルは「シック&クール」。

 スクーター通勤のため、基本はデニム。いつだって動き回れるようスニーカー。大切なのはナチュラル感だという。

 取材の日の唯一のアクセサリーは、極細のブレスレット。マニキュアもしていない。曰く、

「同年代の女友達も、基本はこのスタイルですよ」

 たまたま通りかかった店の前で「これ良さそう!」と、試着をせぬまま衝動的に服を買うこともある。女性誌を見て、鵜呑みにすることはない。

AERA 2015年6月15日号より抜粋