「運転の3要素である認知、判断、操作を、センサーやレーザーなどあらゆる装置を駆使して制御しています。動体視力、計算速度、反応時間。どの能力をとっても、機械は人よりずっと優れている。高速道路で自動運転車が走る日は近いでしょう。そこで実績を積めば、ハードルは高いですが、20年に街中で自動運転車を見るのも夢ではない。技術はそこまできています」

 自動運転車に関心を示しているのは、自動車業界だけではない。IT大手のDeNAが5月、自動運転の「無人タクシー」を走らせる事業に参入すると発表し、ロボット開発ベンチャーの「ZMP」(東京)と共同で「ロボットタクシー」を立ち上げた。

 DeNAのオートモーティブ事業部長で、ロボットタクシーの社長に就く中島宏執行役員は、こう力説する。

「タクシー事業をしたいわけではありません。車を単なる移動手段ではなく、オフィスや娯楽の場のような『空間』にしたい」

 しかし、タクシーが自動運転車になると、運転手の仕事を奪うことになりはしないか。

「タクシードライバーの方は、高いサービスの業務に専念できる。ロボットタクシーと有人タクシーはすみ分けできるはずです」(中島さん)

AERA 2015年6月15日号より抜粋