彼らの生活は、まさにゲーム漬けだ。決まりの起床時間は午前11時と遅めだが、国内外のチームと練習試合を繰り返し、自主練習は深夜2時ごろまで続く。休日は週に1度だけ。全員20代だが、悩みは腰痛や疲れ目だ。

 光熱費や食事代はすべてチーム負担で、プロとして「高卒初任給並み」の給料も出る。スポーツ選手としてコンディションを整えるための住環境は譲れず、スポンサー収入に頼る台所事情は苦しい。ただ、2013年にチームを立ち上げ、その後脱サラした梅崎伸幸CEOは、「数カ月で黒字化できそう」と胸を張る。

 3日後。チームは秋葉原の会場に約800人のファンを集めた日本一決定戦を制し、国際大会への切符をつかんだ。プロらしく、サインにも応じた。

 日本でeスポーツを育てたのは、広告会社SANKO社長の鈴木文雄さん(44)だ。5年前、億単位の賞金が懸けられる海外の大会を見て、衝撃を受け、こう誓った。

「世界では子どもがプロゲーマーに憧れる。日本でもゲームで名声を得られる世界をつくりたい」

AERA  2015年6月1日号より抜粋