TBSテレビ柳内啓司さん(34)現在は編成局コンテンツ戦略部に所属。ネットを活用した番組企画や、1週間無料の見逃し配信サービスなど、局のデジタル戦略を担当(写真:本人提供)
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TBSテレビ
柳内啓司
さん(34)
現在は編成局コンテンツ戦略部に所属。ネットを活用した番組企画や、1週間無料の見逃し配信サービスなど、局のデジタル戦略を担当(写真:本人提供)

 人脈づくりの格好の場とされる異業種交流会。だが実際は、名刺がたまっていくばかり…ということは少なくない。達人たちに、「本物の人脈」のつくり方を聞いた。

 ガムシャラに仕事をしているだけでは、会社に埋没してしまう。自分の存在意義や人生の面白さを探したい――。

 そう思うようになったのは、入社して3年がたったころ。手始めにいわゆる異業種交流会に参加したが、多くの場合、その場の名刺交換で終わりだった。

「壁にぶつかりました」 

 そう話すのは、『人生が変わる2枚目の名刺』などの著書がある柳内啓司さん(34)だ。

 東京大学在学中からIT企業でウェブのコンテンツ制作に携わり、卒業後はTBSテレビに入社。現在はネットとテレビを連携させた番組の企画・宣伝を担当しつつ、書籍の執筆やウェブ上での情報発信、イベントの企画開発など、社外での仕事にも取り組んでいる。

 当時TBS内でIT関連部署にいた柳内さんは、「参加者」から「主催者」になることで壁を破った。月に1度、業界の最先端で活躍する人を講師に招き勉強会を開くことにしたのだ。

「人脈は、自分に興味を持ってもらい、相手の役に立って信頼を得てこそ成り立つのでは、と考えたんです」

 講師陣にとっても、TBSが持つリソースやテレビ業界の話はきっと何かの役に立つ。最初は知り合いを口説くしかなかったが、回を重ねるごとに実績ができ、やがて面識のない人たちも講師を引き受けてくれるようになった。

「主催者なんて大変でしょ?」とよく聞かれるが、いまはフェイスブックというツールがある。イベントページを利用して告知や参加者の出席管理をすれば、さほど負担にならず、むしろ得することのほうが多い。最大のメリットは、自分で講師を選ぶので会いたい人に会えること、そして「主催者」ゆえに彼らと親密になりやすいことだ。

 勉強会を通してできた人脈から、やがて柳内さん自身が講師などに招かれるようになり、話を聞いて「面白い」と思った人からさらに声がかかる。

「人脈がどんどん広がっていったのです」(柳内さん)

AERA 2015年6月1日号より抜粋