高額な入会費、ホテルのようなラウンジ……そんな、ドラマに出てくるような「会員制医療施設」がある。どんな治療、サービスが受けられるのか。

 7階のソファでくつろぐ人の目を楽しませていたのは、壁にある有名画家の油絵と観葉植物。そばにはレストラン「ミクニマンスール」。プロデュースするのはフレンチの巨匠、三國清三氏だ。空港のVIPラウンジの話ではない。会員制健康管理クラブ「セコム健康くらぶKENKO」の医療施設内である。

 手がけるのはセキュリティー大手のセコム。東京都千代田区に先端医療センター「四谷メディカルキューブ」を設立した医療法人と提携し、同じ建物の最上階で始めた富裕層向けサービスだ。年会費は50万円。入会費はなんと200万円。人間ドックは2日間。宿泊はホテルニューオータニ、昼食はマンスールのコース料理で、もちろん減塩、低カロリーである。

 値段は破格だがニーズは小さくない。会員数は約900人で経営者とその家族が全体の76%、リタイア組富裕層が10%、あとは医師や弁護士、教授、俳優だ。最近は中国の富裕層からも問い合わせの電話がくる。

 医療サービスも充実している。がんの超早期発見ができる「PET-CT」をはじめ、専任の主治医がおり、看護師は24時間相談に対応する。室長の水上立英さん(62)は話す。

「会員制は選択肢の一つ。個人会員は紹介で増えています」

 個人会員の税理士男性(46)もこう評価する。

「当初は高額と思ったが、体調を崩した時に価値を感じた。かかりつけのような担当医も安心」

AERA  2015年5月25日号より抜粋