売上を下げる努力もする?「絶対に右肩上がりしない店」

AERA
 年収、出世、周囲からの評価…。上には上がいて、抜けられない競争ジレンマ。ならば、あえて「拡大しない」ことを選択する手もある。

 14席の小さな店。靴を脱いで入るので、客の滞在時間が長い。つまり、回転率が悪い。メニュー表は4枚しかないので機会損失もあるだろう。店員は雇わずすべての仕事を一人でこなす。

 店の名前は、「たまにはTSUKIでも眺めましょ」。11年前、高坂(こうさか)勝さん(44)が東京・池袋に開店したオーガニックバーだ。

 コンセプトは、「絶対に右肩上がりしない店」。自分がどんな暮らしをしたいのか。そのためにいくら必要か。高坂さんは店を開いた34歳当時、その金額を月20万円と決めた。そこから逆算した売り上げは月60万。これ以上は儲ける必要がないので、この基準値を上回ったときは、下げるために営業日を週5日から4日に減らし、メニューも減らした

 飲食店経営の常識から一見ズレているようだが、滞在時間が長いのは居心地がいいからだし、メニューを回覧しあう客どうしで会話が生まれることもある。客の満足度は高く、黒字経営が続いている。

「経済成長を追い求めてうまくいく時代ではない。アップしようがないなら、逆手にとって、価値観を転換するほうが幸せに生きられる」

続きを読む

TwitterでAERA dot.をフォロー

@dot_asahi_pubさんをフォロー

FacebookでAERA dot.の記事をチェック