少年は、母親と祖母、中学1年の妹(12)と暮らしていた。父親は単身赴任中。近所の主婦は「幸せそうな家族だったのに……」と声を詰まらせた(撮影/編集部・野村昌二)
少年は、母親と祖母、中学1年の妹(12)と暮らしていた。父親は単身赴任中。近所の主婦は「幸せそうな家族だったのに……」と声を詰まらせた(撮影/編集部・野村昌二)

 最初に刃を向けた先は、祖母のほうだった。横浜の高校1年生の凶行。「ゲームのやりすぎ」を叱られただけで、なぜ少年は暴発したのか。

 横浜市戸塚区の戸建て住宅が立ち並ぶ閑静な一角。5月18日朝、高校1年の少年(15)が、祖母(81)と母親(50)を自宅で殺害し、約5時間後、刃渡り約17センチの包丁を持って近くの交番に自首した。警察の調べに、「母親だけでなく、祖母からも勉強や生活態度についてガミガミ言われ、カッとなった」などと淡々と供述しているという。

 中学時代は柔道部の主将も務めた少年。白帯ながら試合では黒帯の選手を倒し、市大会でベスト16になったこともある。勉強もでき、クラスのムードメーカー的存在。

 そんな少年が、なぜ凶行に走ったのか。新潟青陵大の碓井真史教授(心理学)は、子どもの親(祖父母)殺しに共通する深層心理として、親にのみ込まれる不安を挙げる。

「親が巨大な存在で、支配され、押しつぶされ、食べられそうになったとき、最後の手段として親を殺すしか自由になれないと思ってしまうことがあります」

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