ビジョンを具現化するため、スタッフの制服をジャージからアミューズメント系の施設で着用されるようなスタイリッシュなユニフォームに刷新。スタッフたちは乗客から注目され、声をかけられるようになった。

 さらにスタッフの地道な“良い行い”をリポートさせる「エンジェル・リポート」を導入。スタッフ同士が認め合い、ほめ合う文化を作り上げた。現場から上がる提案や気づきに丁寧に向き合い、ボトムアップによる課題解決にも尽力した。

 達成感と誇りがスタッフのやる気に火をつけ、テッセイは自律的な組織へと生まれ変わった。スタッフは清掃の技術を絶えず見直し、新幹線到着時のお辞儀も改善。その所作はいまや“おもてなしの見本”になった。

「われわれの職種はまぎれもなく、『きつい・汚い・危険』の3K。だったら、新しい3Kを目指そうじゃないかと、みんなに呼びかけました」と矢部さん。新3Kは「感謝・感激・感動」。その思いは海外からの乗客のハートもつかみ、国境を超える存在となった。

AERA  2015年5月18日号より抜粋