「行動によって、活発に動く脳の場所は変わります。私は脳番地と呼んでいますが、イルカ同様に人の脳も、どこかの脳番地を刺激することで他の脳番地を休ませることができる。空っぽに近い状態にできるのです」

 加藤医師によると、その人の職業によって頻繁に使われる脳番地は違う。ライターである自分の場合、脳に入ってきた情報を理解する「理解系脳番地」にお世話になることが多いらしい。

 あまり自覚はないが、何年も同じ仕事をして同じ脳番地を鍛え続けると、脳内の枝葉が発達してその分野が熟練するとか。つまりその脳番地が“ホーム”になるわけですね。ここを空っぽにするには、スポーツをしているときに動く「運動系脳番地」など、“アウェー”の脳番地を刺激するのが吉。

「ひたすら寝るという休み方は、体の疲労回復にはなっても脳を休ませることにはならない。あまり使っていない脳番地の細胞を刺激して新鮮な体験をすれば、酷使していた脳番地がリフレッシュして、前より効率よく動くようになるはずです」

 ただし、上手に「頭が空っぽ」になればなるほど、休み明けしばらくは、ホームの脳番地が鈍ってしまう可能性もある。いわゆる「休みボケ」だ。気は進まないが連休最終日は、仕事の資料にざっと目を通すなど、ホームの脳番地を刺激するリハビリをするほうがいいようだ。

AERA  2015年5月4日―11日合併号より抜粋