フォローしてあげたいと思われるような「かわいげ」のある人間になることが、休みをグンと近づける。

 もっとも、何をどうフォローしていいのか分からないほど、仕事が「カオス状態」で休まれては、フォローするほうもお手上げだ。基本的なことだが、休みの前には仕事の「見える化」を徹底しておこう。

「仕事の資料は『ドロップボックス』などのデータ管理サービスを使って共有しましょう。作りかけの文書もデータで、すべて共有する。メールも必ずCCでメンバーを入れる。そうすることで、仕事が他の人からも見えるようになり、あれがない、これがないと迷惑をかけなくて済む。もちろん、引き継ぎ資料も文書化して共有します。口頭で済ませようとすると、トラブルになる可能性があるので注意しましょう」(椎葉さん)

●先の休みで脳に期待感

 首尾よく休みが取れたとしても、油断してはいけない。休みの終盤には、気持ちを落ち込ませる「あの感覚」が襲ってくる。

「明日から仕事か……」という虚無感だ。これを回避するカギは、神経伝達物質の「ドーパミン」。『休む技術』(大和書房)の著書もある精神科医の西多昌規さんは、こう言う。

「ドーパミンは『喜びの物質』とも言われます。『もうすぐ休みだ』という期待感も、ドーパミンを活性化させる刺激です。『休む』という行為よりもドーパミンを刺激するのは、休むことができるという将来への期待。休みに対する『期待感』を継続的に用意することが、ドーパミンを刺激し続け、やる気を維持させるポイントになります」

 休暇の直前になってバタバタと予定を立てるのではなく、その次の連休、またその次の連休と、先々の計画を立てることで、「まだ休みがある」という期待感を脳に与え続けることができるという。

「今だったら、ゴールデンウィーク(GW)だけではなく、夏休みの計画まで固めておくと、気分が盛り上がったままで過ごせます」(西多さん)

 上司が休む技術もある。前出の堂薗さんはリクルートで管理職だったとき、チームで「公休以外に月に1日は有休を取ろうプロジェクト」を推進していたという。文字通り、メンバー一人ひとりが持ち回りで有給休暇を取得して、休みをシェアしあう。もちろん、リーダーである堂薗さんも月に1回は取る。そうやって部下を巻き込むことで、上司も休みやすくなる。部下もローテーションで休めば、休む罪悪感が軽くなるという。

「業務改善策として社内に広まれば、会社上層部へのアピールにもなります。休めない上司にはオススメです」(堂薗さん)

 ゆめゆめ「休みの作法」を怠ることなく、よいGWを。

AERA 2015年5月4―11日号