──日本的な「文系」「理系」の区分けをどう考えますか。

 米国のビジネススクールに留学し、外資系企業に勤めた後は大きな違和感を抱いています。英語で理系と文系をどう訳すのかも分かりません。技術立国という背景から、作る理系、売る文系という役割分担の中でできた枠組みではないでしょうか。

 高度成長期に最適化された仕組みや組織、考え方は、それぞれの分野をまたぐ「超域」で考えないといけない。

──なぜ、「超域」が必要なのでしょうか?

 今のように世の中が大きく変化している時は、まず多様な文化、いろんな人がいろんなことをオープンに言える環境をつくり出さないと、大変厳しい状況になる。同質化された「文化」の中だと、修正もききません。

 経営者も、不得手の分野を他人任せにしていては厳しい。新事業の判断も最終的には社長がするものです。経営者は、事業全体についての素地を持つべきではないでしょうか。「アート」は1人の人間から生まれなければいけません。

AERA  2015年4月13日号より抜粋