小保方晴子さんがSTAP細胞の発表をした会見(14年1月) (c)朝日新聞社 @@写禁
小保方晴子さんがSTAP細胞の発表をした会見(14年1月) (c)朝日新聞社 @@写禁

 STAP細胞論文をきっかけに、関心を集めることとなった「研究不正」。研究者がそこに足を踏み入れてしまう理由は何なのか。

 捏造、改ざん、盗用を「研究不正」と呼ぶが、どうもまれなことではないらしい。日本分子生物学会が2013年に行った会員アンケートによると、所属している研究室で不正を目撃、経験したことがある回答者は、1割を超した。近くの研究室で噂を聞いたというレベルまで含めると、半数近くに上る。同学会研究倫理委員会の白髭(しらひげ)克彦委員長(東京大学分子細胞生物学研究所教授)は言う。

「今、調査を行っても、結果はそう変わらないでしょう」

 なぜ研究不正が後を絶たないのか。手を染めるきっかけは、「こんな仮説が証明されたら面白いな」と、科学の発見を求める純粋な気持ちではないか、と白髭さんは推測し、こう話す。

「仮説に合うデータが欲しいと思う気持ちは、誰にでもある。その気持ちが異常に強くなった時、ボーダーラインを踏み越えてしまう危険があり、すれすれで踏みとどまった経験がある人は多いのではないでしょうか」

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