年齢的な「産み時」を超えても、妊娠・出産を助ける医療技術がある。子どもをめぐる女性の悩みは深まるばかりだ(撮影/写真部・加藤夏子)
年齢的な「産み時」を超えても、妊娠・出産を助ける医療技術がある。子どもをめぐる女性の悩みは深まるばかりだ(撮影/写真部・加藤夏子)

 子ども礼賛の空気と医療技術の進歩は独身女性を焦らせる。「いまから」「一人でも」できることがあると、努力せずにはいられない。

「産まないのと、産めないのは違う気がするんです」

 独身の会社員女性(39)は、そう話す。自分が「産まない」と主体的に決めるのと、年齢的な問題などで「産めない」状態になるのには差があるという。漫然と「その時」を待つわけにはいかない。

 彼女はクリニックを訪ね、卵子の凍結保存に踏み切った。妊娠できない大きな原因に卵子の老化があると知り、少しでも若い卵子を残しておきたいと思ったからだ。現時点で、結婚する予定も、結婚に至りそうな相手もいないが、将来結婚して産みたいとなったときに、自分が何もしていなくて産めないなんてことになっては後悔すると思ったのだ。

 晩婚化や晩産化が進行していることを背景に、日本生殖医学会は2013年に、それまでがん患者などに限られてきた卵子凍結について、健康な独身女性でも認めるガイドラインを出した。だが、日本ではまだ卵子凍結は一般化しておらず、処置をしてくれるクリニックを探すのも一苦労だ。

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