株主総会後、記者会見に臨む大塚家具の大塚久美子社長。父の「追放」には成功したが、対立の芽は残ったままだ/3月27日、東京・有明の大塚家具本社(撮影/写真部・松永卓也)
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株主総会後、記者会見に臨む大塚家具の大塚久美子社長。父の「追放」には成功したが、対立の芽は残ったままだ/3月27日、東京・有明の大塚家具本社(撮影/写真部・松永卓也)
大塚家具の株主総会には、約200人の株主が出席した/3月27日、東京・有明(撮影/写真部・松永卓也)
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大塚家具の株主総会には、約200人の株主が出席した/3月27日、東京・有明(撮影/写真部・松永卓也)

 大塚家具の経営権を巡る骨肉の争いは、娘が父を「追放」する形で決着した。しかし、これでお家騒動が収まるかどうかは分からない。

「総会が終わった後はノーサイド。社員全員が心を一つにして信頼回復につとめていきたい」

 3月27日、3時間余りに及んだ大塚家具の株主総会後、記者会見した大塚久美子社長(47)は硬い表情を崩さなかった。

 創業者の大塚勝久会長(71)と長女の久美子氏が、互いの退任を提案して株主の支持を争った異例の委任状争奪戦(プロキシファイト)。大株主の米投資ファンドなどが支援した久美子氏側の提案が6割の賛成を得て、勝久氏の取締役退任が決まった。経営の混乱は収まるのか。大塚家具の事情に詳しい東洋経済新報社の記者、冨岡耕さんは厳しい見方を示す。

「今の幹部たちは、会社がここまで成長したのは勝久氏のおかげだと思っている。従業員の支持は割れています」

 長引くお家騒動は、業績にも打撃を与えている。消費増税のあおりで昨年5月以降、売り上げは前年実績割れが続くが、夏以降は回復の兆しも見えていた。だが、今年2月は前年同月比12 .6%減と再び大きくダウン。業界内では「注文キャンセルや買い控えの動きが出ている」という見方もある。

 大塚家具関係者は「今回の問題が影響しているのは確かです」と話し、3月も厳しい状況は続いていると明かす。

 業界紙「家具新聞」の加納浩志編集長は言う。

「国内の家具メーカーは負の影響を受けている。業界全体のためにも早く『通常営業』に戻ってほしい」

AERA 2015年4月6日号より抜粋