祇園白川沿いの桜は、京都らしい石畳の街に溶け込む。川面に舞い落ちた花びらは、見ている人を誘うようにゆっくりと流れていく(撮影/星野佑佳)
<br />
祇園白川沿いの桜は、京都らしい石畳の街に溶け込む。川面に舞い落ちた花びらは、見ている人を誘うようにゆっくりと流れていく(撮影/星野佑佳)

 京都でお花見なんて、混んじゃってとても無理?いえいえ、ひとりで身軽に日帰りすれば今からでも大丈夫。1日で回れるコースと旅のコツを紹介する。

 1年前から宿を予約する人もいるほど人気なのが、春の京都。今から動くなら、日帰りプランを練るのが現実的だろう。

 東京から行く場合、最初にすべきことは京都から帰りの新幹線の席の確保。指定席は1カ月前から予約が可能だ。JR東海によると、早朝の行きの新幹線は指定席が取れなくても、東京駅発の列車で何本かやり過ごせば自由席でも座れるという。

 一方、帰りは博多や新大阪発なので、京都駅に着いた時点ですでに自由席が埋まって座れない事態もありうる。もし、現時点で指定が取れなくても、あきらめるのはまだ早い。「混雑する時期は、実は予定変更も多い」(JR東海)。こまめにチェックして、空きが出たらすかさず予約しよう。

 行く日を決めたら、次は場所。桜の名所が多い京都は、花見に適した時期が意外と長い。3月下旬ごろから4月上旬は市中のソメイヨシノが見ごろを迎え、遅咲きで知られる仁和寺ならば4月中旬ごろまで。昨年は4月17日ごろに盛りを過ぎたという。比叡山のドライブウェイなど山の方まで足を延ばせば、4月下旬まで楽しめる。

 今回は、都の風情を楽しめる東山コースと、自然を感じることができる嵐山コースを紹介する。京都人いわく、「桜の名所でパッと思いつくのは平安神宮の紅枝垂れでしょう。祇園は買い物も楽しい。『ゆばちりめん』など京都らしい土産は誰からも喜ばれます」(京都市在住、女性会社員47歳)、「テッパン過ぎるけど、春の嵐山はいいですよ。人は多いけど、そこから眺める山は穏やかです」(京都市出身、女性会社員31歳)など、王道だが自信を持って観光客に薦めるエリアだという。

 京都の花見における心構えを、京都在住の女性(46)に尋ねてみた。

「東京の人を案内すると、よく『座るところはないのか』といわれますね」

 東京と違い、弁当を広げたり、酒を飲んだり宴会ができる場所は限られているそうで、そぞろ歩きや神社仏閣の桜をゆっくり観賞というのが基本だという。さすが京都。団子より花、あくまで桜が主役なのだ。

AERA  2015年3月30日号より抜粋