東洋ゴム偽装事件 影響は「姉歯事件」と比べると…

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 地震大国ニッポンの建物を支えるゴムをご存じか。この20年間で普及し始めた救世主だ。だが残念なことに、国産で偽装が発覚した。

「許し難い」。全国にある55棟の免震装置に使われた「免震ゴム」計2052基中の性能データに偽装が発覚した東洋ゴム工業(大阪市)。信頼は揺らぎ、建物は一転して「違法建築物」となった。問題認識後も納入を続けていたとあって、国土交通省や業界関係者は怒り心頭だ。

 免震ゴムとは、ゴムの特徴の柔らかさで横揺れを吸収する材料。鋼板とゴムを重ねた構造で、建物の揺れを4分の1程度に軽減できるという。

 南海トラフ地震で被害が想定される静岡県御前崎市。この秋完成予定で、地域防災の拠点となる市消防庁舎は、問題の免震ゴムを計18基使っていた。事実上、工事は止まり、関係者は現地事務所で話し合いを続けている。市防災課長は憤る。

「東洋ゴムは謝罪に来ても今後の説明がない。11月の運用開始に向けて順調だったはずが、見通しが立たない。補償を含め責任をとってもらいたい」

 被害は官公庁にとどまらない。国交省の発表によると、発覚したうち25棟はマンションなどの共同住宅だ。不動産価値への影響を配慮して非公表だが、ある関係者は「中には契約して間もないマンションもある。目立つのは東京や神奈川など首都圏のようだ」。別のゼネコン関係者は「安全設備に欠陥品なんてあり得ない」と吐き捨てる。

 東洋ゴムによると、一部は基準の6割程度の性能しかない。偽装した元担当者は子会社の開発技術部に所属していた50代の男性社員で、理由について「営業からのプレッシャーがあった」とこぼしているという。

 データの偽装といえば、2005年の「姉歯事件」では、建て直しにまで発展したが、今回はどうか。国交省関係者によると、「極めてたちが悪いが、倒壊の危険が高いわけではなく、即退去の必要はない」。構造設計の専門家も「設計条件によっては、大地震で建物が想定以上に大きく動いて損傷する可能性はあるが、影響は姉歯の時とは比較にならない」とする。

AERA 2015年3月30日号より抜粋

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