政治資金収支報告書。そういえば、昨秋辞めた大臣は「知らなかったでは済まされない」と言っていた(撮影/写真部・堀内慶太郎)
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政治資金収支報告書。そういえば、昨秋辞めた大臣は「知らなかったでは済まされない」と言っていた(撮影/写真部・堀内慶太郎)

 早くも収束に向けて動きだした、国の補助金を受けた企業からの政治献金問題。抜本改革を期待したいが、その前にできることもありそうだ。

 西川公也・前農林水産相を辞任に追い込んだ政治とカネの問題。1年以内に国の補助金を交付された企業だと知りながら、政治献金を受け取ったのではないかという疑惑の渦は、安倍晋三首相、麻生太郎財務相、菅義偉官房長官、甘利明経済再生相ら政権の屋台骨も巻き込んで広がり、民主党の岡田克也代表ら野党議員にも及んでいる。

 ただ、現在のところ疑惑は疑惑のままでとどまり、渦中の人物たちは「(補助金交付された企業だと)知らなかった」などと繰り返す。政治資金規正法によれば、議員側が交付の事実を知らない場合は違法ではない。「知らなかった」の一言で、“辞任ドミノ”には至っていない。議員はもちろん、その活動を支える秘書らも日々の業務に忙殺される。寄付した企業の補助金の受け取り状況を確認することは難しい作業なのだろうか。

「要は、どこまで踏み込んでやろうとするかだと思うんです」

 議員側の自覚次第だと話すのは、ある国会議員の秘書だ。この事務所では、特に個人献金について、外国人などからの違法献金が紛れこまないよう細心の注意を払ってきた。入金を確認すると、領収書と一緒に「寄付承諾書」を送る。その中で、献金をする側に制限があることも説明。説明項目にチェックボックスが付いていて、記入されたものを回収する。

 この事務所では、個人献金だけで年間数百件以上、こうした確認を行っている。この仕組みを応用すれば、1年以内に補助金を受け取った企業を判別することも可能だとみている。

 実際に、今回、補助金受給企業からの献金が指摘された議員の政治資金収支報告書(2013年分)を、記者が見てみた。企業献金の件数こそ約400件あったが、大半の企業が毎月寄付を行っていて、企業数にすると70社に満たなかった。

AERA 2015年3月16日号より抜粋