【ニッポンの課長】野村証券「証券業と母の道」

 アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。

 現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。

 あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。

 今回は野村証券の「ニッポンの課長」を紹介する。

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■野村証券 熊本支店ファイナンシャル・コンサルティング課 課長 平野和枝(39)

 子どもの頃から新聞を読むのが好きだった。大学でゼミの担当教授から「証券業は社会の情勢をよく反映する業種」と聞き、平野和枝は野村証券に就職した。

 最初は窓口業務を淡々とこなした。結婚して28歳で出産。2年間の産休・育休をとり、主婦になったとき、あることに気がついた。平日の街並みや、スーパーの活気、昼間の生活空間の切実さ……。誰にでも生活のリズムがある。営業は、そこに割って入ること。漫然と顧客に電話をかけてきたが、電話一本の重さを感じるようになった。

 復職後は資産運用の担当になった。株式や債券、投資信託などの商品提案から、保険や相続のアドバイスまで、仕事の幅は広い。結婚、出産、子どもの進学、リタイア後のセカンドライフ。人生のイベントに寄り添いながら、相談に乗る。そんなときも会社を離れ、主婦として地域社会で暮らした経験が生きる。母親となったことで、提案の中身に厚みが出てきたと思う。

 ただ、いつも笑顔の接客とはいかない。リーマン・ショック後の経済危機のなか、資産を半分以下に減らした顧客もいた。資産運用を提案する側としては、痛恨の事態。でも、そこで逃げはしなかった。厳しい時こそ「顔を出そう」と、顧客宅へ足を運んだ。以前よりも信頼関係が深まった顧客もいる。

 2年前、課長になった。6人の部下は、全員が女性。仕事と子育てを両立する部下も増えている。

「子育てと仕事の両立は簡単ではない」

 朝は5時に起き、ニュースをチェックしつつ家事をこなす。時には泣く子の顔を見ながら出勤。そのたびに周囲の協力に支えられてきた。いま感じるのは、

「母親業も証券業も、人生に寄り添う仕事」

 後輩たちに伝えていきたいことだ。(文中敬称略)

※本稿登場課長の所属や年齢は掲載時のものです

(編集部・岡本俊浩)

AERA 2014年11月24日号

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