サービスが多様化している学童保育(※イメージ)
サービスが多様化している学童保育(※イメージ)

 放課後の預け先である学童保育が不足している。公立学童保育が足りない今、母親たちが頼りにするのは民間の学童保育。そのサービスも多様化している。

 アエラでは、多様なサービスを提供する首都圏などの主な民間学童のうち14の運営母体に、保育内容や料金などの詳細をアンケート調査した。基本の預かり時間の後も、ほとんどが午後9時や10時まで延長保育を受け入れ、夕食を提供する。スタッフが小学校まで子どもを迎えに行くところも多く、安全面や親の利便性に気を配っている。保育内容の特徴から大きく3タイプに分けてみた。

 子どもの興味を広げる「体験型」は、預かり時間中のプログラムの種類が豊富で、自由に時間割を組めるところもある。英語やスポーツ、受験教育などの「能力開発型」は、塾や習い事を兼ねた体系的なプログラム内容。「家庭型」では、木登り、山登り、おやつ作りなど、家庭で教えたいことを親に代わって体験させてもらえる。

 ただ、民間学童のネックは料金だ。公立学童の利用料は月数千円だが、自治体の補助がない民間学童はゼロが一つ多い。

 杉並区の会社員の女性(39)が小学2年の長女を預けているのは、最寄駅の近くにある「体験型」の民間学童。キャベツを最安値で購入する競争や流しそうめんなど、家庭ではできない生活体験が魅力的だ。料金は週4日で月5万円。4月に次男が小学校に入学したら、2人で月10万円かかることになる。さすがに高いので、公立学童と併用する予定だ。

 親からすれば、高い金額を払っているのだからサービスを充実させてほしい、という意識が拭えない。民間学童のほうも独自のサービスで他社と差別化を図ろうとしのぎを削っている。

 放課後NPOアフタースクール代表理事の平岩国泰さんによると、例えば、子どもが施設に到着したことをメールで親に知らせるシステムや、ウェブ予約システムなど、親にとって安心のサービスを提供するところもある。

「顧客サービスに長(た)けた企業のメソッドが、そのまま民間学童の運営に生かされています」

 都内のある民間学童は、預かり時間中に近くの水泳教室に子どもを送迎し、水着やタオルの洗濯もしている。濡れた水着を持ち帰らずに済み、水泳セット一式を学校に持っていく手間も省ける。

AERA 2015年3月2日号より抜粋