例年、花粉の飛散量が多くなると、対策グッズ売り場も活気づく。写真は、昨年3月の売り場の様子 (c)朝日新聞社 @@写禁
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例年、花粉の飛散量が多くなると、対策グッズ売り場も活気づく。写真は、昨年3月の売り場の様子 (c)朝日新聞社 @@写禁

 花粉シーズンが間もなく到来。毎年この時期が憂鬱な人は多いはず。今年こそは、早めの対策で、快適な春を過ごしたい。

 日本気象協会の発表によると、今年のスギ花粉飛散量は、昨年少なかった関東甲信や北陸、東北地方では前年比2~3倍になる見込みだ。花粉が飛散し始める時期も早く、九州から関東にかけては2月上旬に始まるという。それ以前であっても、わずかな花粉が飛ぶため、花粉症は先手必勝なのだ。

 対策は大きく分けて四つ。(1)花粉の除去、(2)薬物療法、(3)免疫療法、(4)手術療法である。

 このうち花粉の除去は、外出から帰ったら髪や衣類を払ったり、マスクやメガネで防御したりすること。日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科の大久保公裕教授が実験したところ、花粉症用のマスクとメガネを着けると、鼻の中の花粉数が約6分の1に。目の中に入る花粉は3分の1まで減少した。めんどうがらずにセルフケアを徹底したい。

 その上で、薬物療法で症状を抑えるのが主流だ。高い効果を得るには、症状の種類や強さに合った薬を、しかるべき時期に使う必要がある。

 症状が中等度以上の人には、早めに受診して医療用薬を飲む「初期療法」が推奨されている。最もよく用いられている抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬は、飛散開始予測日か症状が少しでも出た時から服薬する。その他の薬は効果が出るのに時間がかかるため、飛散開始予想の1~2週間前から飲み始めることで、花粉症の症状が軽くなる。

 一方、元医療用薬でドラッグストアなどでも購入できるようになった「スイッチOTC薬」は「症状が出てからの服用でいい」と大久保教授は言う。OTC薬の費用は、2週間分で2千円ほどが相場だが、医療用薬を長期処方するより割高になりやすい。また、ドラッグストアでは鼻や目の粘膜の診察ができないため、必ずしも患者の症状にマッチした薬とは限らない。

「OTC薬は症状が軽い人や、忙しくて時間がない人が医療機関にかかるまでのつなぎとして使うといい」(大久保教授)

 各製薬会社からさまざまなOTC薬が販売されているが、「まずは少量から」がコツだ。

「どの薬も効果はそれほど大きく変わりません。ただ、合う合わないの相性はある。多少高くなっても少量のものを買い、症状は治まるか、副作用はどうかを試し、自分に合うものを探すとよいでしょう」(大久保教授)

AERA 2015年2月9日号より抜粋