九州でも急速に広がったメガソーラー。九州電力は近く受け入れ再開の新ルール説明会を開く予定だ。写真はイメージ (c)朝日新聞社 @@写禁
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九州でも急速に広がったメガソーラー。九州電力は近く受け入れ再開の新ルール説明会を開く予定だ。写真はイメージ (c)朝日新聞社 @@写禁

 太陽光発電が試練のときを迎えている。九州や北海道など電力5社が、新規の買い取り契約を中断。発電事業者たちの怒りは収まらない。

 騒動は昨年9月下旬、九州電力の発表をきっかけに起きた。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)に基づいて電力を買い取る契約の新たな締結を、当面中断するという発表だ。

 九電による事業者向け説明会には、準備を進めていた発電事業者が殺到。怒号が飛び交ったという。こうした新規契約の中断には、北海道、東北、四国、沖縄の4電力も追随した。

 中断の理由は、天候によって左右される太陽光や風力による発電が増えすぎると、送電が不安定になって停電を起こしかねないというもの。とくに土地が安く手に入り、日照条件にも恵まれた九州では太陽光パネルの設置希望が多かった。そこへ買い取り価格が減額される前の駆け込み申請が殺到。2020年までに600万キロワットの申請を見込んでいたところ、昨年3月だけで283万キロワットに膨れあがってしまった。

「結局、安定電源を目指す動きではなく『金融商品』になっている。蓄電池があわせて普及しないのはそのためですよ」

 太陽光パネルメーカーの社員は、こう吐き捨てる。欧州では不安定な太陽光や風力の欠点をどうカバーするかが最大の論点だが、日本では買い取り価格の議論ばかりが先行。野放図に太陽光パネルが全国の遊休地や農地に広がっている。

AERA 2015年2月2日号より抜粋