※イメージ写真
※イメージ写真

 2016年4月をめどに家庭向けの電力小売りが自由化される予定だ。これを受け、すでに囲い込みが始まっている。

 大手電力10社が地域独占してきた電力市場が、いよいよ全面的に開放される。その期待感から、昨年1年間で344社が新規の電気事業者の届け出をした。

 今年に入ってからも届け出が相次ぎ、新電力の数は500社に達した。ヤマダ電機、ホンダ、シャープ、日立造船、生活協同組合コープこうべなど、さまざまな業種の企業・団体が参入を表明している。

 大手電力同士の競争も始まった。舞台は最大の需要地である首都圏だ。

 中部電力は、東京電力と火力発電所の建設や燃料の共同調達で提携する一方、三菱商事系の新電力「ダイヤモンドパワー」を買収し、首都圏の企業向けに売電を始めている。関西電力も昨年4月から子会社を通じて、首都圏の企業向けに電力を販売。新聞報道によると、今年夏にはさらに首都圏での販売を強化するため、「東京営業部」を新設する方針という。

 競争が起きれば、電気料金やサービスの向上が期待できる。東京ガスの広瀬道明社長は、朝日新聞のインタビューで、家庭向け電力の小売り自由化をにらみ、電力とガスをセット販売する意向を語っている。

 ソフトバンクは、まだ家庭向けの電力小売りに参入するかは明らかにしていないが、スマートフォンの通信料金と電気料金をセットにしたサービスに乗り出すのではないかとささやかれている。広報担当は「あらゆる可能性を検討しています」というが、有力なプレーヤーになるとみられている。

 楽天も電力事業に乗り出す。12年から太陽光パネルの販売を開始。13年からは、楽天トラベルの契約ホテルや旅館に対し、節電の提案や電力の代行買い付けサービスを提供している。全面自由化を見据えて、新電力やマンション管理会社と組み、電力の需給状況が厳しいときに外出して、居住地域の節電に協力すると楽天ポイントを与える試みも始めた。

AERA 2015年2月2日号より抜粋