全国のマクドナルドで異物混入が相次いでいる。一体マクドナルドで何が起きているのか。

 日本マクドナルドでは、2013年8月、「100円マック」などで一時代を築いた原田泳幸氏(66)が一線を退き、カナダやマレーシアなど各国の現場を渡り歩いてきた叩き上げの女性、サラ・カサノバ氏(49)がトップに就任した。

カサノバ氏は低迷する会社の経営の立て直しが最大の任務。メディアの取材では「マクドナルドはピープルビジネス」とマクドナルド創業以来のモットーを口にし、人材の大切さを語ったが、経営の立て直しのために、現場の合理化はより加速したようだ。

 JAM日本マクドナルドユニオン中央執行委員長の岡田篤さん(51)は言う。

「会社は現場を顧みず目先の利益だけを追いかけるため、現場のモチベーションが落ちている」

 岡田さんによると、マクドナルドは09年から「キャリア支援制度」という名のもとに退職勧奨を進めているという。個々の適性に即したキャリア形成のサポートが目的というが、実態は肩たたき。対象となった社員は突然呼び出され、退職予定日と退職金の金額が記された書類を手渡される。つまり、「社外」で適職を見つけることを勧められるのだという。

 この動きが、昨年5月ごろから加速したと岡田さん。執拗な面談を受けた社員がユニオンに相談に来る件数が増えているという。標的とされるのは40代男性がメインで、現場の一線で働く店長も含まれる。

 キャリア支援制度についてマクドナルドは、「人事制度の体系化の一環として設けたものであり、人員削減を目的とするものではない」と説明する。しかし岡田さんは、こうしたことで起きる人手不足が、異物混入の遠因になっているのではないか、と話す。

 ある店舗では、4人でレジ担当を回していた時間帯も、2人で対応しなければならなくなった。レジには行列ができ、顧客から「早くして」プレッシャーを感じることもあるという。

 マクドナルドでは、オーダーを受けてから商品を提供するまで「50秒以内」という指標があり、少ないレジ担当が焦りながら作業をしなければならない。その結果、マックフライポテトを詰める作業の時などに、万が一異物が混入しても、気づかない可能性もあるという。

AERA 2015年1月26日号より抜粋