選手との距離の近さが魅力。会場を出たら、オークスブックセンター東京ドームシティ店に寄るのもいい。30坪ほどの店内にプロレス、野球、競馬などの本がぎっしり(撮影/今祥雄)
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選手との距離の近さが魅力。会場を出たら、オークスブックセンター東京ドームシティ店に寄るのもいい。30坪ほどの店内にプロレス、野球、競馬などの本がぎっしり(撮影/今祥雄)

 日本のプロレス人気が盛り返しつつある。そこには、世界が驚く日本独自の世界があった。

 日本のプロレスはよく、昭和の時代のものとして、懐古的に語られるが、アメリカ、メキシコなど海外のプロレスや、ほかの格闘技の要素などを縦横無尽に取り入れ、独自の進化を遂げてきた。

 DDTと新日本プロレスの両団体に所属する若手最注目株の飯伏幸太(いぶしこうた)選手と、「ヨシヒコ」という人形(とはいえ週刊プロレスの選手名鑑にも掲載されているプロレスラー)との試合は、「驚くべき日本人の創造性」などと海外からも称賛の声が届いた。

 相手が人形であるため、一方的に技を“かける”展開を想像しがちだが、飯伏選手は人形相手にパイルドライバーなどの大技を“かけられる”のだ。かつてアントニオ猪木氏は「ほうき相手でもプロレスができる」と言われたが、その光景を本当に見せてしまう、飯伏選手の途方もないプロレスセンスと卓越した身体能力が発揮されている。

 また、プロレス人気が低迷するなか、率先してプロモーションやファンサービスに取り組み、現在の人気復活の糸口をつくった棚橋弘至選手は、アメリカのプロレス専門誌が選ぶ年間最優秀レスラーに3年連続で輝いている。

 日本のプロレスは、オリジナリティーとクリエーティビティーにあふれるものとして、世界から驚きをもって注目されているのだ。

AERA 2014年12月22日号より抜粋