レベルファイブゲームソフト開発会社1998年、日野晃博さんを代表に設立。クロスメディア展開を得意とし、「イナズマイレブン」「ダンボール戦機」「妖怪ウォッチ」などヒットを連発する(撮影/山本薫)
<br />
レベルファイブ
ゲームソフト開発会社
1998年、日野晃博さんを代表に設立。クロスメディア展開を得意とし、「イナズマイレブン」「ダンボール戦機」「妖怪ウォッチ」などヒットを連発する(撮影/山本薫)

 シリーズ初のゲームが発売されてからわずか1年余。1作目の出荷は135万本に達し、3バージョンある2作目は、500万本を突破した。いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの「妖怪ウォッチ」のことだ。

 ごく普通の小学生である主人公が、妖怪が見える不思議な時計「妖怪ウォッチ」を手に入れるところから、物語は始まる。街に出現する妖怪と友達になったり、バトルをしたり。

 手がけるのは、福岡市に本社をおくレベルファイブ。地元のゲーム会社のディレクターだった日野晃博さん(46)が1998年に独立し、仲間たちとクラブ活動のように夢中になって、ゲームを作ってきた。

 コミックがヒットしてアニメ化され、ゲームがそれに続く例ならほかにもある。レベルファイブの新しさは、コミックとアニメ、ゲームを同時進行した点にある。

 ゲームソフトは単価が高く、いきなり買うにはハードルが高い。コミックやアニメを入り口に好きになってくれたら、価格の壁も越えてくれるのではないか。コミックとアニメを連動させるアイデアが、自然と出てきた。

 ゲームとアニメの哲学がぶつかり合う場面も経験した。

「ゲームはとっぴな発想が生きる世界ですが、アニメはリアリティーを追究してきた歴史がありました」(日野さん)

 そのせめぎ合いが、ゲーム由来のぶっ飛んだところとアニメのリアリティーを併せ持ったキャラクターを生んだ。

「妖怪ウォッチ」はこの手法で作る3作目。日野さんは言う。

「幸運だったのは、『妖怪ウォッチ』を最大限の味方を抱えた状態で始められたこと。各ジャンルの担当が100%以上の仕事をしてくれなければ、ここまでのヒットはなかった」

 レベルファイブの社名は、「五つ星クオリティーのものを作る」という気概を込めてつけた。夢は、ディズニーのような世界ブランドになることだ。

AERA 2014年12月29日―2015年1月5日合併号より抜粋