将来の不安を解消したくてたくさん入った保険が、逆に家計を圧迫。こんな不条理を解消するために、無駄な保険を見直してみよう。会社の制度などがカバーしてくれることもある。ファイナンシャルプランナーの清水香さんに、具体的な例をもとに見直してもらった。

 中村肇さん(仮名・46歳)は、専業主婦の妻(49)と、小学生の子ども2人と暮らす。大手出版社に勤務し、年収1400万円と高所得だが、住宅ローンと教育費に家計は圧迫されている。夫婦あわせて月額約2万4千円の保険料を減らしたい考えだ。

 肇さんの保険は、職場に出入りしていた保険外交員に言われるままに決めたもの。妻は、無料保険ショップに勤める元同級生の勧めで加入した。どちらも見直しの余地が大きい。

「専業主婦の妻と子どもは扶養家族。夫の加入する健康保険の給付を受けられるし、高額療養費制度や付加給付を使えば、医療費で困る可能性は低いんです」(清水さん)

 むしろ対策をとるべきは死亡時の保障だ。万が一、夫が亡くなったあとの妻子の生活をどう守るのか。

「真っ先に確認すべきは、勤務先の死亡退職金や弔慰金、遺児育英年金などです。労働組合や互助会、健保組合から保障が出る場合もあります」(清水さん)

 日頃あまり意識することがない制度だが、積算すると驚く。

「35歳の会社員で、死亡退職金が1500万円。埋葬料などを入れて2千万円近くとなる例もあります」(清水さん)

AERA  2014年12月15日号より抜粋