DDTの大会で。紙テープはいったん巻き直し、芯を抜いてから投げる。「選手への応援の気持ち」だというが、禁止の団体もあるので要注意。11月30日、後楽園ホール(撮影/今祥雄)
<br />
DDTの大会で。紙テープはいったん巻き直し、芯を抜いてから投げる。「選手への応援の気持ち」だというが、禁止の団体もあるので要注意。11月30日、後楽園ホール(撮影/今祥雄)

 近年、女性のプロレスファンが増えているという。何が新しいファンの心をくすぐるのか。“聖地”「後楽園ホール」(東京都文京区)を訪ねた。

 ホールに入ると、正面(北側)のモニターに、大会のダイジェスト映像が流れている。観客はビールや名物のレモンサワーを飲みながら、思い思いに開演前の時間を過ごしている。

 女性同士の客も多い。かつてはプロレスの女性客というと、派手めの方か、選手のTシャツを着た気合の入ったファン、という感じの人が多かったが、今ではカジュアル風からモード系までさまざまなファッションの人が集う。

「お待たせいたしました。試合を開始します!」

 リング上でアナウンサーが告げ、レフェリーがリングイン。エプロンサイドにはカメラマンたちが、リングにひじをつくようにカメラを構える。

 キックが決まる「ビシッ」という音。マットに倒れる「ドシッ」という振動。観客の歓声。選手の雄たけび。それらの生の音がまじりあって、ホール全体を満たしていった。

 今回が2回目のプロレス観戦という神奈川県在住の女性(31)は、「肉体美がすごい!かっこいい。中邑(なかむら)真輔選手が好き」。すると、一緒にいた友人は「クネクネしてキモイ!」。この友人は、幼いころからプロレスファンだという。最初に好きになったのは武藤敬司選手。新日本プロレス出身で、今はWRESTLE―1を率いている。

 プロレスには少々不似合いのようにも思えるロリータ風ファッションの女性がいた。埼玉県から来た主婦(40)で、プロレスにはアイドルグループ「ももいろクローバーZ」から入ったという。

 ももクロは「Chai Maxx」の振り付けに、武藤選手の「プロレスLOVEポーズ」を取り入れたり、「ももクロChan」(テレビ朝日系)で、ももクロ好きの邪道選手や矢野通選手と絡んだりしている。ももクロのマネジャーの川上アキラさんは、大のプロレスファン。こうした人々がいろいろな分野に潜んでおり、そこからプロレスファンを拡大させている。

AERA 2014年12月22日号より抜粋