クリスマスをひとりで過ごす「クリぼっち」。だが、その過ごし方は人によってさまざまだ。クリぼっち事情を取材した。

 「クリスマス粉砕」と書かれた横断幕を掲げて、地味な服装の男性らが「恋愛資本主義反対!」「カップルは自己批判せよ」と叫びながら歩く。昨年のクリスマス直前の日曜日、カップルでにぎわう渋谷の街を異様なデモ隊が進んだ。主催したのは「革命的非モテ同盟」。女性に振られた傷心の男性が2006年に設立した団体で、クリスマスやバレンタインデーにモテない人らの権利を主張している。

 「デモの様子はソーシャルメディアを使って拡散された。周囲に生温かく見守ってもらえている」(非モテ同盟)

 今年も21日に決行予定だ。

 デモ行進に限らず、この数年、ネットを中心にクリスマスを一緒に過ごす相手がいない人を「クリぼっち」と呼び、話題となっている。既婚者など「リア充」が取材するのははばかられるので、クリぼっち確定の記者(37)が、独り身の男女にクリスマスのエピソードや今年の予定を聞いてみた。

 
 と彼氏なし、フリーター時代を回想するのは20代後半のファッション関係の女性。「店員さんと目が合っちゃって、おかしな感じになりました」と笑い、この時期の鉄板ネタにしている。

「エア彼女」で職場における傾向と対策を練るのは、男性会社員(41)。もちろん独身。数年間彼女なしで、「幸せの風景はもはや忘れかけている」とか。

 毎年12月24日と25日は、夕方から始まる会議もなく、普段は夜8時過ぎまで残業している職場でも、家庭のある同僚はそそくさと帰り、若い女性の部下も早めに帰り支度。

「だから僕も暇そうに思われないように退社します」

 ただ、自然な感じを装うのが難しい。「6時過ぎにすぐ帰るのはわざとらしい。彼女がいるとしたら勤め人だろう。同年代ならば定時には仕事が終わらないはず。待ち合わせは7時半くらい。7時くらいに、ゆるっと職場を出よう」とシミュレーションを繰り返し、当日に備える。

AERA 2014年12月22日号より抜粋