2020年にはオリンピックという大イベントを迎える東京。舛添要一都知事は、そこにどんな青写真を描くのか。

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──「世界一の東京にする」と公約しましたが、課題は?

 最も大事なのは交通体系だ。たとえば空港。2020年には2千万人が東京を訪れる。成田と羽田の発着便をどんどん増やさないと足りない。両空港へのアクセスをもっと良くしないといけない。羽田は便利になったが、成田が便利だと思っている人はほとんどいない。韓国への飛行時間よりも、下手をすると都心から成田へ行く時間のほうが長いかもしれないので、アクセスを見直す場を設けるべきだ。

 空港から複数の交通手段があり、乗り換えなしで都心のメインターミナルに行けるようにしないといけない。重いスーツケースを持っている人が利用することも考え、バリアフリー化も進めたい。成田までの道路も何とかしないといけない。

 防災も大切な視点だ。地震に弱い木造密集地域が、まだある。観光に資する木造建築は残すべきだが、人が一人やっと通れるような道で消防車も入れない地域もある。住んでいる人がいるから強制的にすぐというわけにはいかないが、都市計画で一所懸命に改善していく。

──経済成長期につくったインフラの老朽化が問題になっています。日本橋などの上を通る首都高速を地下化する案など、インフラ更新とからめた民間の発想も出てきています。

 インフラは上下水道含めて更新している最中だ。技術革新もある。各部局が一所懸命がんばっているので、後押しする。

 日本橋の上を走る首都高速は、まさに50年前の東京五輪の負の遺産だ。ああいうことをしてはいけない。いずれなくそうと思っているが、20年には間に合わない。道路を地下に埋めるには、巨額の工事費がかかる。財源が確保できれば、タイミングをみて日本橋付近の首都高も地下化したい。国や企業とも相談しながら進めていく。

 交通網も整備しないといけない。20年までに中央環状線、外環道、圏央道の首都圏3環状道路がほぼ完成すれば、極端にいうと都心に流入する車が半分になり、渋滞がなくなる。渋滞がなくなれば新たな“富”を生み出す。すでに圏央道の一部はできて、東名高速、中央道、関越道がつながった。

AERA 2014年12月1日号より抜粋