かたづけ士 小松易さん(45)2005年、「スッキリ・ラボ」を開業。誰もが持つ「かたづけ力」を引き出し、日本を元気にするのがミッション。テレビの経済ドキュメンタリー「ガイアの夜明け」にも出演(撮影/高井正彦)
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かたづけ士 小松易さん(45)
2005年、「スッキリ・ラボ」を開業。誰もが持つ「かたづけ力」を引き出し、日本を元気にするのがミッション。テレビの経済ドキュメンタリー「ガイアの夜明け」にも出演(撮影/高井正彦)

「片づけ」に関するさまざまな書籍が出版され、人気を博している。片づけのプロたちは、片づけによって実際にどんな影響を受けたのだろうか。

 片づけそのものを仕事にした、コンサルティング会社「スッキリ・ラボ」代表の小松易(やすし)さん(45)はこう話す。

「影響を受けたのは、僕の人生」

 もともと、ゼネコンに勤めるサラリーマンだったが、9年前、日本初の「かたづけ士」として独立した。片づけを手伝った人は、2500人を超える。現在は、企業のコンサル業務を中心に行い、“汚デスク”を“美デスク”に。

『たった1分で人生が変わる片づけの習慣』をはじめ、小松さんの著書は、中国、韓国、タイでも翻訳された。一個人にも、会社にも、海外の人にも火をつける片づけの影響力に、小松さん自身が驚いているぐらいだ。

原点は、大学4年の時に交換留学で訪れたアイルランドでの経験にある。語学学校の放課後はサッカー。夜はパブでいろんな人に出会い、現地のミュージシャンや政治家とも交流した。大統領に英語で手紙も書いた。3カ月後、いよいよ帰国という日、荷づくりしながら驚いた。

<人生で最も充実した密度の濃い経験ができたのに、持ち物はたったトランク一つ分?>

 その後、建設会社に就職したが、アイルランドで経験した「トランク一つの暮らしの心地よさ」がよみがえってきた。この驚きを伝えたい──。

 小松さんは、12年勤務した会社を辞めて起業した。独立したのは、結婚3カ月目だった。

「結婚すると言った舌の根も乾かないうちに、今度は、『片づけを仕事にするので、会社を辞めます』と。ゼロからの出発で食べていけるか誰にもわからなかっただけに、妻の親に報告した時は、さすがに緊張しました」

 ここ数年は、講演に、テレビ出演に多忙な日々だが、ライフワークとして、小中学生への「片づけ授業」を続けている。

AERA  2014年11月24日号より抜粋