12月にスペインで開幕するグランプリファイナルは、フィギュアシーズン前半の世界王者を争う重要な試合だ。各選手は11月末までに行われる6戦のうち2戦に出場してポイントを争い、上位6人がファイナルに出場するが、第4戦までを終えて、日本勢の強さが目立つ。

 第1戦で町田樹が、第2戦では無良崇人が、そして第4戦では女子の本郷理華が、相次いで優勝したのだ。

 24歳の町田は、昨季に急成長を果たしソチ五輪は5位、世界選手権2位に。今季は実力の証明が求められるシーズンだ。

 本人も、「昨季は貴重な経験と学びがありました。今季のプログラムは、以前からずっとやりたかった『バイオリンと管弦楽のための幻想曲』とベートーベンの『交響曲第9番』。どちらも傑作に仕上がったので、自分らしい高水準の演技を皆さんの前で披露したい」と意欲的。第1戦のスケートアメリカでは4回転をショートで1本、フリーで2本成功、熱演を披露した。

 一方、ジャンプ力に定評がある23歳の無良も好調だ。「昨季は前半が安定しない状態だった。今季はスタートから成績を残していきたい」と臨んだ第2戦スケートカナダ。フリーで4回転2本を成功させて、優勝。

 無良の原動力は妻と子どもだ。オフシーズンは親子3人で沖縄旅行に行き、休日は自身の両親も連れて3世代で出かける。一家の大黒柱だ。

「今年は『カルメン』と『オペラ座の怪人』で定番曲だが、相手の女性を意識する表現が必要になる。自分の奥さんや子どもをイメージして振り付けてもらったので、観客にもそれが伝わればいい。ベテランの年なので風格ある演技にしたい」と話し、感情表現に自信をみせる。

AERA 2014年12月1日号より抜粋