ダンサーやアスリートの肉体を活写した写真集『筋肉男子』や、筋肉バディの俳優・鈴木亮平や入江甚儀(じんぎ)、プロボクサー村田諒太の写真集が相次いで発売。プロレス観戦にはまる女性も増えるなど、時代はまさに「筋肉萌え」だ。

 映画界でもご多分に漏れず、「ノア 約束の舟」「ポンペイ」「300 帝国の進撃」など、俳優の肉体が強調される歴史大作が続々公開されているが、公開中の「ヘラクレス」はまさに“筋肉映画”と呼ぶにふさわしい。

 本作は、人間を食い殺す獅子退治や底なし沼の水蛇との激闘など「12の難業」を成し遂げ伝説となったヘラクレスが一転、金のためだけに闘う傭兵となっているところから始まる。

 主演は「屈強な肉体や自分の力ですべてのことを成し遂げていくヘラクレスには、5歳の頃から憧れていた」というドウェイン・ジョンソン(42)。プロレスWWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント)のスーパースターから映画界へ転身したアクションスターだ。「スコーピオン・キング」や「ワイルド・スピード」シリーズなどで肉体を印象づけてきた。

「人々がヘラクレスと聞くと必ず思い浮かべる肉体的な特徴を表現したかった」と言うだけあって、上腕はまるでバスケットボールが二つつながっているかのようだ。前から見れば、剣を弾き返す鎧のような大胸筋。横幅も半端なく分厚い。

 イケメン評論家の沖直実さんは、筋肉男子の流れは佐川男子が注目された2年前くらいから始まった、と話す。

「将来が不安定で報われない世の中だからこそ、余計に女性は男性に引っ張ってほしい。筋肉という確実にわかりやすい男性に流れています。もっとも、究極のところは、女性たちが厚い胸板や太い腕で抱きしめられることを妄想しやすいことが大きいと思いますが(笑)」

AERA 2014年11月10日号より抜粋