(※イメージ)
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「モンスターペアレント」が社会問題になったのは2000年代後半のこと。いまは、同様に「モンスター」と呼びたくなるような「チルドレン」の出現がささやかれている。

 教育に詳しい明治大学文学部の諸富祥彦教授は言う。

「かつて学級崩壊が全国に広がったとき、子どもたちは教師をコントロールすることを覚えてしまった。親が教師の悪口を言ったり、クレームをつけたりすることも多くなったので、子どもたちは先生をばかにするという『知恵』をつけてしまったんです」

 関東の小学校に通う6年生の男児は、ある決意のもとに授業の妨害を始めた。

 大声を出す。担任教師をばかにする態度を取る。担任が怒りだしそうなことは思いつく限りやった。そして、堪忍袋の緒が切れた担任は、子どもたちの前で男児に手をあげてしまった。男児は、ニヤッと笑って言ったという。

「みんな見たよな? いまの体罰だよな?」

 担任教師を処分に追い込むための行動だった。実際、教師は処分を受けて転任。この男児の親はしきりに、「あの先生はダメだ」と言っていたという。

「今の子どもたちは、教師がバッシングにさらされやすく、社会的に難しい立場にいることをよく理解しています。先生が自分に一度でも手を出したら終わりだ、と知っているからこそ、やりたい放題。際限なくエスカレートしていってしまうのです」(諸富教授)

AERA 2014年11月17日号より抜粋