オイシックスがオフィス向けにデリバリーするサラダ。蒸し鶏やパスタなど、メインディッシュになり得る具材も多く、男性でも物足りなさは感じないという(撮影/写真部・東川哲也)
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オイシックスがオフィス向けにデリバリーするサラダ。蒸し鶏やパスタなど、メインディッシュになり得る具材も多く、男性でも物足りなさは感じないという(撮影/写真部・東川哲也)

 白米に主菜、副菜がついた「お弁当」が300円台で買える時代に、800円、1000円のサラダが飛ぶように売れる。憎まれっ子の副菜はなぜ、高くても売れるメインディッシュになれたのか。

 東京・恵比寿のビストロ「ル プティ レストラン エピ」のオーナーシェフ鈴木智則さんは、サラダをスタッフに渡すと厨房で耳を澄ませる。

「わーっ!」「スゴイ!」

 こんな声が聞こえたら、大成功。驚くのも無理はない。「本日のスペシャルサラダ」には、ルッコラやクレソンなどのオシャレ葉ものに、鴨肉のコンフィ、フォアグラのポアレ、サーモンのマリネなど、15種類以上の具材が宝石のようにちりばめられている。1皿5千円也。

 2年前までは、もう少し小さなポーションのものを3千円で出していたが、野菜の価格高騰などを受け、量を増やして価格を上げた。注文は一時的に減ったが、すぐに戻ったという。見た目の華やかさによる口コミもあるが、鈴木さんは高値でも売れる理由をこう話す。

「最近の消費者は、『築地直送の鮮魚』といっても、安いと信じてくれない。本当に新鮮で高品質の食材には、ある程度の対価が必要だと認識されている」

AERA 2014年10月27日号より抜粋