いま薬局は、「戦国時代」を迎えた。国内の薬局は約5万6千店(2012年)と、コンビニの店舗数約5万店より多い。いかに差異化できるかが、薬局の生き残りのカギを握る。
調剤薬局最大手「アインファーマシーズ」(本社・札幌市)の「アイン薬局 登戸店」(川崎市多摩区)は8月、それまでの午前9時から午後6時までだった営業時間を「24時間年中無休営業」に切り替えた。
「調剤薬局として、在宅医療と救急医療への貢献を踏まえ、24時間開局に踏み切りました」(鈴木奈々絵・経営企画課長)
国は4月の診療報酬改定で、大病院や診療所の役割分担を明確にし、入院患者を在宅医療へと導くことを主眼とした。そうした中、24時間営業で、体調が急変した時などにいつでも処方薬が手に入る環境を提供し、在宅治療中の高齢者の家族らの利用を見込む。スタートして間もないが、夜間だけで一日十数枚の処方箋を受け付ける。
コンビニとのコラボで生き残りを図る薬局も増えてきた。全国に534店舗を展開する薬局大手のクオール(本社・東京)は10年8月、本社ビル1階にローソンと調剤薬局を組み合わせた店舗を出店。今では、首都圏を中心に38店舗を展開する。薬局部分の営業時間は基本的に午前8時30分から午後7時までで、薬剤師が常駐する。
「長期的には、100店舗をローソンと展開していきたい」(クオール広報部)
好機なのは、ローソンも薬局を“集客コンテンツ”ととらえていることだ。少子高齢化でコンビニの客層が若者から高齢者へとシフトしつつある中、「ヘルスケア」を軸とした品ぞろえは欠かせない。現に九州地区では、溝上薬局などを展開するミズと業務提携、首都圏はマツモトキヨシとの併設店を整え、じわじわと自称“ファーマシーローソン”を増やす。
※AERA 2014年10月27日号より抜粋