資産を着実に増やしている人がいる一方で、貯蓄ゼロの人たちも増えている。金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査」(2013年)によると、二人以上世帯で金融資産を保有していないと答えた世帯が31%にのぼり、単身世帯では37.2%。どちらも前年度より上昇した。

 アエラが行ったアンケートでは年間貯蓄100万円以下の人の9割が独身という結果に。今の貯蓄に納得していないという人の2大理由には、「所得が少なくて余裕がないから」と「仕事のストレスを浪費で発散している」がある。

 そこで、「お金が貯まらない」と答えた人たちの1カ月の家計簿を、ファイナンシャルプランナーの横山光昭さんに細かく分析してもらった。中には、30歳を超えていて収入が十分あるにもかかわらず、貯蓄がゼロ、または数十万円しかない人たちも。

 共通して言えるのは、お金が貯まっていないことに対して危機感が薄いこと。「来月になればまた給与が入るから、今お金を貯める意味が分からない」という極楽トンボな回答が目立つ。ひとつの家計簿を例に、横山さんは次のように指摘する。

「36歳男性H.Fさんの場合。これから結婚して子どもをもちたいなら、自分の結婚式代、子どもの養育費が間髪いれずにやってくる。それであたふたしていると、今度は自分の老後のための貯蓄をする時期と子どもの教育費が発生する時期が重なる。すると、老後のための資金を貯める期間がない、という悪循環。支出が自分以外にかからないときこそ、お金を上手に貯めないと」

 では、どうすれば貯まるようになるのか。横山さんに聞いてみると、収入にかかわらず意外と簡単なところから始められそうだ。どんな人でも必ず貯蓄を増やす方法はあるのだという。

「貯蓄をするには、節約をして支出を抑えるのが基本です。家計の見直しは、まず固定費から削ること。家賃、携帯電話などの通信費、生命保険の保険料、ここから見直していきましょう」

AERA  2014年9月22日号より抜粋