なんだか最近つらい。そう感じている女性は多いはず。女性の身体には女性ホルモンが大きく影響する。分泌量が減り始める30代以降、働き方も見直しが必要だ。

 3年前、記者が40代半ばに差し掛かった暑い夏の日、それは突然やってきた。着信音が鳴っている携帯電話を取り出そうと焦ってアワアワしていたら、いきなり頭から顔、首から背中にかけて汗がドォーッ。なにこれ?暑さのせいだけじゃないのは確かだ。

「まさか、これがホットフラッシュ?」

 初めて「更年期」を意識した。以来、女性ホルモン数値を測り、対策を立てる日々が続いている。

「女性の一生は、女性ホルモンが大きくかかわっています」

 そう話すのは、よしの女性診療所の吉野一枝院長。女性ホルモンの代表格、エストロゲンは年齢とともに分泌量が変化する。思春期になればエストロゲンの分泌量が増え、初経がやってくる。18歳~30代前半は分泌が最も盛んで、医学的には妊娠・出産に適した時期だ。45歳頃からエストロゲンの減り方がスピードアップすることで「更年期」に突入し、閉経を迎える。

 30代後半から更年期にかけて、さまざまな症状が表れる。代表的なのは、のぼせやほてり、発汗、体の冷えやむくみ、関節の痛みなど。

「エストロゲンは体を守ってくれるホルモンなので、その量が減り始めると不調が出てくるのは当たり前です。肌や髪がパサパサし始めるのはわかりやすい変化ですが、骨や血管、神経、内臓など、体じゅうに影響が出る。甲状腺や代謝、自己免疫系の病気、膠原(こうげん)病やリウマチなども一気に増えてきます」と、前出の吉野さんは話す。

 身体の不調ばかりではなく、心の不調も出てくる。集中力が低下し、物忘れも激しく、判断力が鈍り、何を話していたか途中でわからなくなることも。心が不安定になりイライラしたり落ち込んだり、やる気がわかなかったりというのも症状のうちだ。

「更年期をつらく感じるかどうかは、女性ホルモンの減少だけではなく、ホルモンの変化に対する感受性の違いや性格、体質、心理状態や生活習慣も影響します。確実に言えるのは、不規則な生活やバランスの乱れた食生活が続いていると症状が強く出やすいんです」(吉野さん)

AERA 2014年9月29日号より抜粋