「イケてなかった」日本人が「クールな100人」に選出

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 シリコンバレーで起業し、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグらと肩を並べるまでになった日本人がいる。しかし彼は、実はビジネスを始めた当初は「もっともイケてない」と言われるような存在だった。

 福山太郎が共同創業した「エニーパーク」は、米サンフランシスコ・ダウンタウンのビルの7階にある。オフィスでは、50人ほどの社員がコンピューターに向かっている。

 今年3月、福山は米オンラインニュースサイト「ビジネス・インサイダー」で、「シリコンバレーのクールな100人」の一人に選ばれた。テスラ・モーターズ創業者のイーロン・マスク、フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグらと肩を並べてのリスト入りだ。

 エニーパークのビジネスモデルは、企業の福利厚生(パーク)を請け負うというもの。フィットネスクラブ優待、自宅の掃除…あらゆるパークを提供する。

 福山が起業を目指してシリコンバレーに来たのは、2011年6月。慶応義塾大学を卒業後、シンガポールのソーシャルゲーム会社に就職。しかし、もっと長く使ってもらえるサービスの開発に携わりたいと考えた。友人たちにその考えをスカイプで投げかけると、返答した一人に、後に共同創業者となるサニー・ツァンがいた。日本育ちの中国人。福山が大学卒業間際にシリコンバレーを訪れた際に出会い、案内してもらった仲だ。

 会社を辞めてシリコンバレーに来た福山は、ツァンと資金集めに奔走し、100人もの投資家に会ったが、成果はゼロ。何カ月間も、ファストフード店の駐車場に止めた車の中で寝る日々を送った。

 もう帰国しようか──あきらめかけたときに出会ったのが、起業家を訓練するアクセラレーターとして名高い「Yコンビネーター」の主宰者、ポール・グラハムだった。あるイベント後にグラハムをつかまえ、iPadを手にプレゼンを試みた。つたない英語での説明に、グラハムはさほど関心を示さない様子だったが、福山は言った。

「大きなことがしたいならアメリカに来いと、あなたは言っているじゃないですか」

 2人はYコンビネーターに入所を許された。ただ、3カ月の養成期間中にビジネスモデルは二転三転。グラハムには「同期チームの中でもっともイケてない」とまで言われた。500人の投資家を相手にデモをする日が1カ月後に迫った頃、ようやくエニーパークのサービスを始めた。ギリギリのスケジュールの中での“船出”だった。

AERA 2014年9月15日号より抜粋

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