踊っているけど音は無し…「無音盆踊り」の孤独と連帯感 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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踊っているけど音は無し…「無音盆踊り」の孤独と連帯感

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江戸時代から続く「佃島念仏踊り」。こちらは、東京中心部に残る伝統的な盆踊りだ。8月には、『盆おどる本』(青幻舎)なる入門書も出た(撮影/伊ケ崎忍)

江戸時代から続く「佃島念仏踊り」。こちらは、東京中心部に残る伝統的な盆踊りだ。8月には、『盆おどる本』(青幻舎)なる入門書も出た(撮影/伊ケ崎忍)

 平安時代に始まり、鎌倉時代に全国に広がったなどとされる「盆踊り」。生き物のように形を変えながら脈々と続いてきた。誰もが一度は体験したことがある日本の伝統行事に、「いま」ならではのバリエーションが生まれている。


 イヤホンを耳につけ、携帯ラジオを指定の周波数に合わせる。聞こえてくる「炭坑節」に合わせて、それぞれが手足を動かし、踊り始める。櫓(やぐら)を囲む人々の様子は、視覚的に見れば盆踊り。違うのは、周囲に音が聞こえないことだ。

 愛知県東海市で2009年に始まった、その名も「無音盆踊り」。「風情がない」という声もあるが、もの珍しさが話題を呼んで、来場者数は増加傾向にある。騒音対策もあって始めたというが、「孤独感と連帯感が交差する非日常的意識」で踊りに没入できると、好む人もいるという。

 日本最大の盆踊り情報サイト「盆踊りの世界」を主宰する盆踊りマニア、柳田尚也さん(47)も、ストリートダンサーの杉澤健太さん(35)らと新たな取り組みをはじめた。

 柳田さんは、盆踊りのルーツとされる一遍上人の踊り念仏が、地元である神奈川県藤沢市の遊行寺(ゆぎょうじ)に伝わると知り、地域の盆踊りイベント「遊行の盆」の運営に携わってきた。近年の悩みは、若者たちの集客だった。

一方、湘南は開放的な風土やダンススタジオが多いといった背景からヒップホップが盛んで、ここには若者が集まっている。「関わらない手はない」とアプローチし、出会ったのが、藤沢でストリートダンスのスクール運営やイベント企画をしていた杉澤さんだった。

「音頭のかけ合いはラップのバトルだし、韻を踏むこと、時事ネタや地元ネタをサンプリングすること、即興や変化を許容するフリースタイル…と共通点の多さに驚きましたね」

 そう語る杉澤さんが、7月の催しで盆踊りとヒップホップのコラボレーションを仕掛けた。既存の音頭を素材にリミックスした曲で子どもたちが踊った。

「盆踊りとヒップホップ、それぞれの核心はおさえながら、これから更新していくつもりです。僕らが作る基盤を次の世代がさらに発展させてくれたら、文化を継いでいける」(杉澤さん)

AERA  2014年9月1日号より抜粋


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