平日は都会、週末は田舎の「2地域居住」楽しみと苦労

AERA
 平日は都会で暮らし、週末は田舎で暮らす――そんな「2地域居住」を実践する家族がいる。苦労は決して少なくないが、その分、得るものも多いようだ。

 建築ライターの馬場未織(みおり)さん(41)は、平日は都会、週末は里山の2地域居住を始めてもう8年になる。

 南房総に購入した自宅は築100年以上の古民家。土地は8700坪と広大で、さまざまな野菜を作り、子どもたちとフキノトウやヨモギの濃いにおいをかぎ、虫取りに熱中する。平日は仕事に追われて凝り固まった心身を週末の2日間で一気に緩ませ、日曜夜に再び東京へ戻る。

 夫婦そろって東京出身。何一つ不自由を感じていなかった都市生活に疑問を持ち始めたのは、きっかけだった。

 生き物に興味を持ち、図鑑を見てあらゆる種類の生き物の名前と特徴を覚える息子。だが、児童公園で生き物に出合うことは少ないし、土をほじくり返すと怒られる。現在の東京には、子どもの遊び場がないと思った。

「彼の興味が尽き果てるまで遊べる自然の中で子育てがしたい」

 そう考えたが、田舎への移住はハードルが高い。東京には高齢の親もいるし、夫も自分も東京に職場があって、経済的なことを考えると東京を離れられない。自然の中での子育てを諦めかけたときに夫が提案したのが「週末田舎暮らし」だった。

 土地探しをスタートし、3年かけて出合ったのが、南房総の物件だった。東京湾アクアラインを通れば世田谷の自宅から1時間半。価格は「ポルシェが買える程度」だった。2007年1月から、週末に一家で大移動する暮らしが始まった。虫取りや川遊び、草刈りや野良仕事まで各自がやりたいことを思う存分やって、夜は古家で雑魚寝。

 住み始めてみると、田舎は暮らしのベースを整えるのに想像以上に手間がかかった。きれいに刈ったと思っても翌週末にはまた草ぼうぼう。畑を荒らすイノシシ対策など苦労も多く、優雅な田舎暮らしとは言えない。だが、里山を美しく維持するために草を刈っていると、土を耕して生きるミミズのように、自分も生きものとして大地の営みの一部になったような充足感を得られる。

 一方、週末ごとに南房総へ行くのは「それなりの努力が必要」だと言う。今、子どもたちは中学生、小学生、保育園児で予定も興味もバラバラ。学校行事など外せない行事のときは南房総行きをあきらめるが、友だちからの誘いなど「心の揺れる予定」もあって、調整が悩ましい。子どもたちの遊びたい気持ちを尊重して、大型休暇のたびに子どもたちの友だちをたくさん連れて南房総で合宿するという。

AERA 2014年9月8日号より抜粋

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