日本競泳陣が、2年後のリオデジャネイロ五輪へ向けて加速を始めた。豪州のゴールドコーストで、8月21日から24日まで行われた競泳のパンパシフィック選手権。日本代表は過去最多の金7をはじめ、銀8、銅4の計19個のメダルを獲得し、前回の13個を大きく上回った。

 輝きを放ったのは、20歳のエース萩野公介だった。初日の男子200メートル自由形ではタッチの0.10秒差で敗れたが、2位で日本人第1号のメダルを獲得。2日目は400メートル個人メドレーで、昨夏の世界選手権覇者で同い年のライバル、瀬戸大也を抑え、圧倒的な強さで金メダルを手にした。

 200メートル個人メドレーには、この種目五輪3連覇中で五輪史上最多22個のメダルを獲得している「怪物」マイケル・フェルプス(米)が、ロンドン五輪後の引退宣言を撤回して参戦。萩野は平泳ぎから最後の自由形へのターンでトップに立つと、猛追するフェルプスを0.02秒差でかわした。

 ロンドン銀メダリストの入江陵介は、男子100メートル背泳ぎで念願の金に手が届いた。16歳の頃から代表入りしているが、主要国際大会では優勝がなかった。いま、24歳。

「やっと取れたな。(リオへ)止まらない2年間にしたい」

 男子平泳ぎで100メートルと200メートルの2冠を達成した小関也朱篤(やすひろ)。山形県出身の22歳は自他共に認めるマイペース。初の国際舞台でも、「ちょっと寒い日本選手権くらいかなって」。世界をリードしてきた北島康介不在のなか、奮闘した。

 日本水泳連盟の上野広治・競泳委員長は「強い選手は結果を残した。南半球で、気候面などでリオのシミュレーションにもなった」と総括する。リオでは入江と小関、次の東京では萩野、瀬戸、渡部が脂がのる年齢を迎える。200メートルバタフライで金、200メートル個人メドレーで銅の瀬戸が、「公介と世界の舞台でワンツー争いをしたいし、将来はふたりで世界記録を争っていくつもり」と言えば、萩野もこう返す。

「大也とふたりで表彰台に立てたことはうれしい。また(中央に)日の丸を掲げたい」

AERA 2014年9月8日号より抜粋